私のことをリアリストというのかは知らないが、私は現実的にできそうにもないことを言っている人を見ると、愚かであり、哀れである人だと思ってしまう。

例えば、核兵器廃絶を訴えている人。そんなこと、絶対にできるわけがない。
唯一の被爆国として、核兵器廃絶を世界に訴えることは大切なのかも知れない。理想はよく分かるが、実際の現実を見れば、核兵器廃絶は世界で最も困難なことだろう。イスラム教徒とキリスト教徒が互いに手を取り合い、仲良くすることより難しい。

その難しさは、そこらへんにちょっと目を向けてみれば分かる。
北朝鮮みたいな弱小国家であっても、核兵器を持つだけでアメリカでもおいそれと手出しできなくなる。遠くに飛ばすミサイルがなくても、核兵器を持っているだけで、脅威となるのだ。

ショボい軍隊しかなくとも、他国をそれほどまでに脅かせる代物を、そう簡単に手放すはずがない。
核兵器は麻薬みたいなもんで、一度そのよさを知ってしまうと、手放せなくなってしまう。それだけでは、死んでも手放さないようにする。

北朝鮮に核兵器の放棄すらさせられない現状なのに、全世界で核兵器廃絶が実行されるわけがない。
もし万が一、国同士でいっせーので捨てると約束したとしても、相手のことなんか信用できないから、結局こっそり持ち続けるに決まっている。

核兵器廃絶など、遠い夢どころか、実現不可能な妄想でしかない。
だから、それをお題目のように唱え、それを続ければ実現するかのように思うことは、愚かなように思えて仕方がない。

逆に、これだけ核保有国が増えたのだから、日本が持つことの方が、まだ簡単に思える。
日本が核保有国になれば、中国もそうそう強気には出てこられなくなる。日本にはロケット技術があるのだから、大陸間弾道ミサイルを作って、世界中のどこにでも核兵器を撃ち込めそうである。

だが、現実的には不可能ではないにしても、相当難しいだろう。
日本人には相当の核アレルギーがあることが、今度の原発事故で分かった。放射能のことであることないこと吹聴しまくる連中が、核兵器について黙っているわけがない。
核兵器は原理的に暴発する恐れなんかないが、「もし爆発したらどうなる」というに決まっている。

それより何より、核兵器を開発するには、核実験が欠かせないが、国内での実験を許すわけがない。
震災瓦礫を処理するだけで、ヒステリーのようになっていきり立つバカばかりの国で、アメリカやフランスのように、本国から遠く離れた島々を領土として持っていない国が、核実験をできるわけがない。

その上、核保有国になろうとすれば、相当な外圧がある。中国様を怒らせただけであたふたする経団連の会長がいるし、殆どの日本人は堪え性がなくなっているから、輸出入の制限で圧力をかけられたら、一瞬でギブアップしてしまうだろう。

他国に核兵器を捨てさせることができず、自分が核兵器を持つこともできない。
日本はただ指をくわえて見ているだけの国なのだ。諦めて、それを受け入れるしかない。