マグニチュード7以上の首都圏直下型地震が来る確率について、東大地震研究所が「4年以内に70%」と算出して公表したことによって、何だかバタバタと騒々しい。

「4年以内に100%の確率で発生する」のであれば騒ぎが起こるのも分かるが、「4年以内に70%」とは、何とも微妙な数字である。
もし起こらなくても、残りの30%だったわけであり、起こったら起こったで70%の方が当たっているわけで、当たる確率の意味合いとしては、「降水確率70%」と大して変わらない。
当たっても、当たらなくても、どっちでも正解に取れる。

そもそも、地震予知がどの程度当たるのかも不明である。
福島第一原発を酷い目に遭わせたあれほどの大津波を起こす大地震は、発生確率が0%とされていた。10%や20%ではなく、0%である。にも関わらず起こった。

ただ、地震に関しては、いつ何時起こるか分からないのだから、常に非常事態に備えておくべきだろう。

我が家では、元々、水や懐中電灯などは用意してあったし、電池もそこそこ備蓄していた。
震災後に、水のケースを2ケースほど増やし、カセットコンロとガスボンベを買って物置に入れておいた。また、車のシガライターからUSBの電源(5VDC)が取れるアダプタを買って、auの携帯電話用のUSB充電ケーブルも買った。
単三電池でケータイを充電できるヤツもあるが、電池がすぐなくなってしまうらしい。車のバッテリーだったら、幾らでも充電できるだろう。

我が家の備えはそれだけだ。
本来ならば食料も必要なのかも知れないが、家の中にカップ麺が幾らかあるだけだろう。
東日本大震災ほどの大災害でも、腹は減っても、飢え死にする人はいなかったから、水さえあればなんとかなる。

問題は、勤め先で被災した場合だ。
勤め先から自宅まで、直線距離で50キロ以上あると思われる。とてもじゃないが、歩いて帰れない。
ただ、一応、歩く用意をしておくため、新しい靴下とスニーカーだけは置いておくようにした。
普段持ち歩いているビジネスバッグは、3ウェイタイプでリュックのように背負えるので、それも問題ない。
死ぬ気になれば、スニーカーで滋賀まで数十キロの道のりを歩いて帰れるだろう。途中途中、ガレキやら何やら転がっていて大変かも知れないが。

震災を契機に、これまで疎かだった防災のための準備を僅かながら補強できた。嫁さんともいろいろ前もって決めごとをしておいたので、多分大丈夫だろう。
問題は、国がどうにかなった場合である。

私の家を始めとして、普通の家の防災は、国からの支援を計算してのものだろう。最長で1週間ガマンできりゃ何とかなると想定していても、国の中枢がメチャクチャになって、まともな救援活動が行われず、援助物資が来なかったら、そのときは生死をかけたサバイバルが必要だ。

我が家には精米していない米が数十キロあるので、家が全壊しない限り、それを食えばなんとかなりそうだ。電気温水器に200リットルの水も入っている。
しかし、軽量鉄骨の家が全壊するくらいの大地震で、電気温水器もぶっ壊れたら、もう食うもんがない。物置に入っている水だけ。
その状態で国からの救助がなかったら、近所中でドエライ騒ぎになるかも知れない。

西村京太郎の短編で、「我ら地獄を見たり」という作品がある。珍しく鉄道とは無関係の話で、大地震で陸の孤島となった団地で、食料を巡って人々が殺し合うという内容である。
それと同じことが、実際に起こらないとも限らない。

だから、国には地震に万全の備えを取って貰い、指揮系統が乱れることだけは避けて貰いたい。
そうでもない限り、一般家庭で1か月とか2か月分の食料備蓄をしたり、トイレの用意をするのは不可能だ。

ビンボーな国民には、地震に対する物質的な備えなんか僅かにしかできない。ここはお国に頼るしかないから、頼られる方の国は、完璧と言えるほどの備えをお願いしたい。