私は、結婚披露宴には一度しか出たことがない。義理姉の披露宴だ。
それ以外は、二次会に何度か出ただけ。

初めて披露宴に出席してみて、テレビや漫画でネタにされていることがよく分かった。
披露宴で繰り返されるスピーチだとか、友人代表が贈る歌など必要なのだろうか。

よくあんな場で歌なんか歌えるもんである。しかも、カラオケレベルの歌唱力で、照れ隠しをしながら歌って何が面白いのであろう。歌を披露するのは大抵女で、昔なら「てんとう虫のサンバ」、今なら木村カエラの「Butterfly」あたりがよく歌われるのだろうけど、それを聴きたいと思う人はどのくらいいるのだろうか。

歌はまだガマンできるが、スピーチは本当に限界ギリギリのものが多い。上司にしても古い友人にしても、スピーチをしている人の知り合いだけがやや盛り上がるが、赤の他人でスピーチを聞いているヤツなんか誰もない。
その割には、年配の上司なんぞは話だけ長くて、ちっとも面白くない。
まあ、スピーチは、参列者に聞かせるもんではなく、新郎新婦に聞かせるものだから、外野は大人しくしているしかなのだろう。

多くの人にとって退屈な時間となるスピーチは、聞いている人なんか殆どいないにも関わらず、スピーチをする人は緊張するし、何かと気を遣う。
披露宴のスピーチには、言霊信仰が大好きな日本人特有ともいえる忌み言葉なんてもんがあって、それを気にしなければならないらしい。

直接的な「死ぬ」などの言葉はもちろんのこと、離婚を連想させる「割れる」とか「裂ける」とか、再婚を連想させる「たびたび」とか「またまた」などの重ね言葉もイケナイらしい。
「またまた」と聞いて再婚をイメージするなんて、頭がオカシイんじゃないかと思えて仕方がない。なんというか、忌み言葉には無理矢理感がたっぷりで、嫁を苛めるための小姑の罠みたいだ。

縁起でもないことを連想させる言葉が結婚式の披露宴などであげつらわれるわけだが、もう少しほどほどにならないかと思う。

それと全く同じ構図で、「縁起でもないことを言った」とか、「悪いことを連想させることを言った」といって産経新聞が政治家を苛めていた。

【MSN産経ニュース】 自民ダブル問題発言 麻生氏「党内で生き埋め」 石原氏「大崩落」 (2/24)

記事によると、麻生太郎が民主党を揶揄するため、「党内の一部の人を"生き埋め"にしようとした」と話し、石原伸晃が「菅内閣の大崩落、山が崩れる予兆」と語った。
それについて、ニュージーランドの地震を連想させるため、産経新聞は問題発言だと断罪していた。

確かに、ニュージーランドで地震がなけりゃ、そんな言葉は飛び出さなかっただろうが、どうでもよすぎて驚くほかない。
記事はマスコミがお得意の「批判を受けそうだ」で結ばれている。

「○○しそうだ」と書かれている記事は、「○○しなさい」という意味である。
つまり、産経新聞は「麻生と石原のふたりを批判しなさい」と記事で言っているのである。
にわかに正気とは思えない記事だ。

これを朝日新聞が書くのなら、「朝日新聞必死だな」という感想になるが、産経新聞の記者が、こんなことを一生懸命書き、その上司が認めて記事として配信し、新聞紙面にも掲載するわけだ。

2ちゃんねるではあるまいし、まさか"釣り"ではなかろう。サンスポに雇われたライターが書いたのかと思ったが、そうでもないらしい。
エリートサラリーマンとされる全国紙の記者が、大マジメに書いたのかと思うと、空恐ろしくなる。