石川遼が憎たらしい。

若くて、すらっとした男前で、ゴルフがうまくて、金持ちで、人気もあって、礼節をわきまえ、全てが完璧なのが石川遼だ。
オッサンで、だらしない体型で男前でもなく、ゴルフなんかしたことがなければ、貧乏サラリーマンで、人気者でもなく、無礼な言葉遣いをしてしまう不完全人間の私とは全くの正反対である。
共通点は、ホモ・サピエンスのオスということくらいしかない。

ここまで段違いだと、もはや嫉妬すら感じないわけだが、人間として私と10くらいランクの違う石川遼が、今季のゴルフツアーの獲得賞金全額と、1バーディにつき10万円を、東日本大震災の被災者支援の義捐金として寄付すると表明した。
非の打ち所がないが優等生。完全無欠の石川遼である。

スポンサー料があるから、金には困らないのだろうが、昨季の計算なら1億8000万円になる金額の寄付を申し出るのだからスゴイ。しかもまだ19歳である。
あまりにも完璧すぎる。完璧すぎるから、憎たらしいのだ。出来杉くんをやっかむのび太みたいなもんだ。

口が臭いとか、インキンだとかの欠点でもありゃいいが、石川遼には多分そんなもんもなく、全てが完璧なのかも知れない。

完璧男の行動に、下々の庶民は驚くばかりであるが、ほかのプロゴルファーには多大なプレッシャーを与えることになるだろう。

石川遼と同じ寄付ができるゴルファーなんていないだろうし、いたとしても、今さらだったら二番煎じとしてしか見られない。
完璧で、皆に好かれる石川遼は、当然皆から応援される。ほかのプロゴルファーは、さぞかし肩身の狭い思いをするに違いない。

どういうわけか世間では、有名人が多額の寄付をしなかったり、チャリティに参加しなかったりすると、太っ腹な寄付をした人物と比較され、人非人のように見られている。

ユニクロの柳井正が10億円寄付したのに、ソフトバンクの孫正義はどうして多額の寄付を表明しないのか、などと言うヤツがいる。恐ろしい話だ。金持ちだから寄付して当然と思うヤツが、この日本には大勢いるのだ。
そんなことがあったから、楽天の三木谷浩史も1億円くらいでよさそうなところを、柳井と同じ10億円も寄付せざるを得なくなったのではないのか。

そいつらは、「善意は寄付金の多寡ではない」などと前置きしておきながら、やっぱり寄付をどれだけしたかとか、どのような寄付をするのか旗幟鮮明にしろなどと迫るのである。
これではまるでモンスターではないか。てめえがどれほどの寄付をしたのか知らないが、他人に善意を強要するほど気色の悪いことはない。そんなもんは善意でも何でもなく、ただのプレッシャーで、嫌がらせ以外の何ものでもない。

その証拠に、嫌われ者はモンスター国民から寄付を迫られる。孫正義しかり、島田紳助しかり。
対象はいずれも、金持ちの嫌われ者だ。
寄付云々とごちゃごちゃ文句を垂れているヤツは、ただ単にそれら金持ちに嫉妬して、嫌がらせをしているのであろう。そうでなければ、Yahoo!ニュースのコメント欄への嫌がらせコメントや、Yahoo!知恵袋へのわざとらしい質問なんかできないはずだ。

被災者支援、復興支援のために金持ちは金を出すのが当たり前であるかのように主張するヤツらは、生まれながらの難病で、助かるには海外で高額な手術をするしかない子供のために寄付を迫ることはしないだろう。
自分の尺度でものごとを解釈し、未曾有の災害には金持ちが金を出して当然と主張し、ただ金持ちを貶めているだけである。

それが一体何のためになるのだろうか。一体何のためにやっているのか。
結局はてめえの憂さ晴らしのためだろうに。