これを怪我の功名とでもいうのだろうか。

尖閣諸島沖での中国漁船の領海侵犯と海上保安庁の巡視船への衝突事件で、日本は中国のムチャクチャな言い分に引くに引いて、屈服したいだけ屈服し、土下座までして何も得るものはなかった。
中国は日本の足元を見てさらに増長し、政府の期待とは裏腹に態度を軟化させるどころか硬化させたし、国際社会には日本は強く押すと簡単に折れてしまうというメッセージを与えてしまった。

中国はもちろん、ほかのヤクザ国家に対しても、日本がいかにショボく、政治的決断能力に欠け、外交力もなきに等しいことを示してしまったのだが、民主党政権のこの失態に対する損失は計り知れない。

日本は多くを失ったわけだが、無理矢理こじつけてみると、ひとつだけよかったことがある。
中国がそういう国だと、日本国民と周辺諸国に知らしめることができた。

中国に対しては譲歩しても意味がない。結局気に入らなければ、こちらがどれだけ引き下がってもぐいぐい押してくる。中国人には、ビジネスでよく言われるWin-Winの関係などないのだ。Win-Loseしかない。
もちろん勝つのは中国で、負けるのは他の国だ。

さらに、中国は「打落水狗」(水に落ちた犬は打て)という諺を、間違いなく実践しているということも分かった。相手が落ち目だと容赦しない。フジタの社員をスパイ容疑で逮捕し、「死刑まであり得る」と脅かし、日本が弱腰にしか出られないよう落ちたところで、さらにぶっ叩くのが中国だ。

「弱っているからこの辺で勘弁してやろう」などという慈悲の心はないのだ。弱っているからこそ、打って打って打ちまくる。
フジタの社員を釈放せず、未だに脅かし続ける。対日本のみ厳しくした通関や、レアアースの輸出禁止をやめる気配を見せず、日本企業にだけ嫌がらせをする。

そうやって行け行けどんどんでやっていけば、日本を中国の自治州として手に入れ、チベット人のように日本人を奴隷の如く扱うこともできるだろう。

中国がムチャクチャやってくれたおかげで、「話せば分かる」と主張してきた日本人どもを黙らせることに成功したのもよかった。中国人に対しては、話が通じないの。こちらが折れても仕方がない。

それでも朝日新聞は、熱くなる中国に対し、「日本は冷静であれ」などと主張する。
街のオッサン同士のケンカじゃあるまいし、「冷静に」などと言っている場合か。

日本も熱く主張すればいいのだ。「中国人どもはクソだ」と。
言うべきことを言わずにガマンするのが「冷静」ではない。日本に対してどこらへんまで押せばいいのか分かっている中国の方がよほど冷静ではないか。
中国の圧力にただただ屈服し、文句も言わずに、何も行動せずにいるのは、もう国家としてもう死んでいるとしか思えない。