仕事ばかりやっているせいか、学生時分に勉強したことの多くを忘れてしまった。
もちろん、小学生や中学生の勉強くらいならまだいけるが、高校以降の勉強はもう無理。特に数学の忘却率は酷いもんだと思う。

微分積分など、どんなもんだったかうろ覚え。大学時代にやったフーリエ級数などに至っては、どんなもんだったかも憶えていない。かろうじて名前と、何か難しかったという記憶だけが残っている。

「数学なんか社会に出てから役に立たない」などと言われるが、そんなことはない。ちょっとくらい役には立つ。ただ、私の今の仕事は、微分積分を必要としないので忘れてしまった。
だが、役に立つのは確かである。

例えば、高校3年のときに少しだけやった確率のお勉強は、人生において何かと役に立つ。何が得で、何が損なのか分かるし、利用することで、感情に惑わされない判断もできる。

今さら何を言っているのかというと、今日の関西の新聞は、一般紙のスポーツ面、スポーツ紙、いずれも昨日のドラフトを大きく扱っていて、阪神の真弓監督が早稲田の大石の抽選で、2分の1の確率を外したと報じているところが多かったのが気になったのである。

早稲田の大石は、6球団から1位指名を獲得し、抽選では真弓監督が5番目、西武の渡辺監督が最後の6番目のくじ引き順だった。
前の4監督がくじを外し、真弓監督は残る2枚からハズレを引き、残った1枚のアタリを渡辺監督が引き当てた。

このことについて、何でか知らんが2分の1を当てられずに、阪神がドラフト12連敗というような記事が目立った。
どう考えても6分の1だろう。

先の4人のくじ引きを無視し、真弓監督以降のくじ引きだけを近視眼的に見れば2分の1かも知れないが、くじの確率は6分の1だ。
授業で習っただろう。くじ引きはどの順番で引くのも確率は同じ。
最初に引く人はもちろん 1/6。2番目に引く人は、1番目の人が外す確率×自分が当てる確率なので、5/6 × 1/5 でやっぱり 1/6。もちろん5番目の真弓監督も、5/6 × 4/5 × 3/4 × 2/3 × 1/2 なので 1/6 である。

2分の1とか言ってるヤツは、最後の 1/2 だけ見ているだけ。
真弓監督の前の4人が引いてる場合があるわけで、それはどう考えても無視できない。

ただ、マスコミがこうやって報道したのは、真弓監督に原因がある。
本人はハズレを引いて、「2枚のうち1枚を引けなかった」とヘラヘラしていた。

そんなバカなことをやっているから、マスコミまで「2枚のうちの1枚」に釣られて記事にしてしまうのだ。