7月1日発売の「近代麻雀」の漫画家の片山まさゆきと馬場裕一プロ(バビィ)の対談コラムで、片山まさゆきが「相撲界の野球賭博問題で、麻雀や花札も同列に並べて報道しないで欲しい」と言っていた。
誰もがそう思うわけで、今では野球賭博のみがクローズアップされているが、賭博問題としてひとくくりであらゆる賭け事が悪であるかのように報じられたのは間違いだと思う。

ハッキリいって、麻雀や花札なんかは金をかけるからやるもんであり、金をかけずにやるなんてあり得ない話だろう。
特に麻雀は、老人向けのボケ防止麻雀ならともかく、誰が「金をかけずにやるのか」と思わずにいられない。

片山まさゆきや馬場プロに詳しい年代の麻雀好きならば、元祖東大出身プロ雀士の井出洋介プロが、何十年も前からノーレートでの麻雀を勧めていたことに「そんなもん、やってられっか」と思っていた人も多かろう。
別にレートが低くても何でもいいから、とにかく金をかけずに麻雀なんぞやっていられない。1000点30円くらいなら鼻くそをほじりながら適当にやってしまうが、それでもノーレートよりは雲泥の差でマシに思える。

個人同士である程度の金額を賭ける麻雀であれば、いちいち司法に咎められるようなことではない。法律を厳格に見れば違法とされるかも知れないが、ある程度ならば見逃される。それで何も問題なかろう。

以前、漫画家の蛭子能収がフリー雀荘で麻雀を打ち、そこに警察の手入れが入り、ほかの客もろとも逮捕されたことがあった。
そのときのレートが1000点200円。フリー雀荘でたかだか200円の麻雀を打っていただけ。サラリーマンが気軽にやれるレートではないが、高いレートでも何でもない。
リャンピン(200円)で打ったくらいで逮捕された蛭子さんを皆が気の毒に思ったものだ。

一方、麻雀で逮捕されたといえば、1987年の西武の東尾修を思い起こさせる。東尾の場合、1000点3000円といわれる高レートで打ち、メンツにヤクザが混じっていた。
それがバレて警察に逮捕された上、野球連盟からは半年間の出場停止と1000万円もの制裁金を受けるハメになった。

蛭子能収と東尾修の差は、麻雀で逮捕されたと言うことで同列で見られがちだが、実際は全然違う。しかも、程度の違いではなく質の違いなのである。
麻雀で3000円のレートで打つなんて、漫画で見るようなヤクザの麻雀か、違法な高レートのマンション麻雀でしかあり得ない。
本人も、ヤクザが関係していることは自覚していただろう。自覚していないわけがない。

相撲界の野球賭博問題の場合、「暴力団が関係しているとは知らなかった」とふざけたことをぬかす力士がいるらしいが、そんなわけあるまい。ハンデ師の情報を貰って、何十万円も賭ける野球賭博にヤクザが関係していないわけがない。
野球賭博での負けやテラ銭は、暴力団の資金源にもなる。それを分かっていないわけがない。

しかも、東尾のように個人でやっていたならともかく、複数の現役力士のみならず、床山から親方まで参加しており、組織ぐるみでやっていたと言われても仕方のない状況だ。

相撲協会は、やっていた力士や親方だけを処分し、トカゲのシッポ切りで終わらせるつもりらしいが、本当にそれでいいのだろうか。
それで済めばいいのだが、これまで次々と出てくる問題を見ていれば、それで済むわけがない。

今度失敗したら、本当に大相撲は終わってしまうだろう。
私は相撲に興味がないのでどうでもいいが、本当に相撲を愛するファンにとってはどうでもよくなかろう。