バーブラ・ストライサンドほど好き嫌いの分かれる人はいないのではなかろうか。

バーブラ・ストライサンドは女優、歌手、作曲家などいろいろやっている才能あふれる女性だ。アカデミー賞において、「ファニー・ガール」で主演女優賞を、「スター誕生」で作曲家としてアカデミー歌曲賞を受賞しているところを見ても、どれほど才能あるかが大体分かる。

ただ、性格的にはやや難があって、自分がいかに貧しい暮らしから成り上がったを延々とスピーチしたりするめんどくさいババアで、強烈なフェミニストで、リベラルな点などがアメリカの保守的な男に嫌われる。

そんなだから、映画「イン&アウト」で「バーブラ・ストライサンド好きの男はゲイだ」と揶揄されるのであろう。

実際、バーブラ好きの男がゲイだとは昔からよく言われていた。謂われはよく分からないが、彼女のフェミニストとしての言動や、イギリスのゲイデュオであるペットショップボーイズなどと交流があるからだろう。

バーブラ嫌いの男は大勢いるのだが、もっとも嫌っているのは、米アニメ「サウスパーク」の制作者であるトレイ・パーカーとマット・ストーンのふたりかも知れない。

「サウスパーク」のシーズン1の第12話「メカ・ストライサンドの大迷惑」では、世界征服をたくらむバーブラが出てきて、子供たちを拷問したり、しまいには巨大なロボットになって暴れまくる。

 


子供に歌声を聞かせる拷問を行うバーブラ・ストライサンド


シーズン2の第15話「殺人金魚の事件簿」では、画面の四隅にバーブラの顔が表示されていて、そのフレームには「SPOOKY VISION」とある。この回では"Spookyfish"という殺人金魚が出てくるのだが、それになぞられて、画面のフレームを恐ろしいフレームにするため、バーブラの顔を貼り付けてあるのだ。

 


何の断りもなくずっとこのフレーム


映画化された「サウスパーク 無修正映画版」にも台詞の中でバーブラが出てくる。映画のラスト、主人公のカートマンが下品なことを言うと頭の中で電流が流れるチップを利用して、さんざん下品なことを口にして電気をため、それをスパークさせてフセインを倒すというシーンがある。そのシーンでカートマンは次のようなことを言う。

 

「Fuck, shit, cock, ass, tities, boner, bitch, maff, pussy, cunt, butthole, Barbra Straisand!」

(日本語字幕:チンコ パイオツ ビンビン勃起 ビラビラ ヌレヌレマンコのバーブラ・ストライサンド)

お下品ワードの最後がバーブラ・ストライサンド。笑ってしまった。バカにされすぎではないか。

だが、驚くことにこういうことがあっても、アメリカで訴訟には発展していない。アメリカ人ならすぐに訴えそうなもんだが、「サウスパーク」で小バカにされたり、アニメ内で殺されたりした有名人は、みな静観している。
「たかだかアニメを訴えるのも大人げない」と思っているのであろうか。

大人で、かつ有名人ならばそのくらいの余裕が欲しいもんだ。特に日本の政治家には見倣って貰いたい。
すぐに週刊誌を訴えて言論弾圧しようとするヤツがいれば、2ちゃんねるのようなインターネットの掲示板にウソ情報を書かれたからといって過剰に反応しているヤツもいる。
こいつらは、もうちょっとどっしりと構えることはできないものだろうか。